レッドクリフパートⅡ(※ネタバレあり)辛口かも。

先週、姉と二人で観にいきました。
感想を日記に書こうか非常に迷いました。
なぜなら、それはかなり愚痴っぽい感想になってしまうからです。
けれど、一人で悶々としているのがストレスたまるので、ちょっと吐き出したい気分で書きました。


そのため、この映画を絶賛する方は読まない方がいいかも。
三国志を全く知らずに観た人にとって、ある意味非常に楽しめた作品だとは思っています。
これが元で、より多くの人が原作に興味を持ってくれるといいなぁ・・、またそうなってくれる為のきっかけとしては、大きな役割を果たした貴重な作品だったと思います。



これから書く事は、長年『三国志』に愛情を注いできた一人の人間の、ただ正直に感じたままの感想文です。共感できない人は、途中で読むのをやめてください。


その前に・・・
ついこの間、民放でパートⅠが放映されていたので、まだ観ていなかった主人と一緒に改めて鑑賞しました。


ラストシーンの終了後、いきなりパートⅡのネタバレが始まり・・・
まぁ・・原作は知っているし、頭のさわりくらいしか放送しないだろうと思っていたら。
・ ・・・殆どあらすじをやっちゃってるよ。
ダンナも、『ここまで観たら、もうパートⅡは観なくていいや』と言ってるし、
姉のダンナさんも、今回は一緒に観に来る予定だったのに、あのあらすじを観てしまったて、『もういいや。大体わかった』・・・という事で観に来ませんでした。
実はこれも、映画の楽しみを大きく奪われた原因の一つでした。



ここから感想です。


全体的に浅いと感じた。



その原因の一つは、歴史上もっとも有名な決戦の一つである戦いが、たった一人の女性をめぐって勃発した様にまとめられたストーリー。


三国志」の深みも浪漫も、イマイチ感じることができなかった。
映像美には拘って綺麗に仕上がっている分、「三国志」を観ている気がしなかった。



TVKで現在放映されている(かつてNHK-BSで放送されたもの)、中国大河ドラマ三国志」の方が、ダイジェストのようにバシバシとカットされているものの、よっぽど面白味のある作品だとつくづく実感した。



戦闘シーンについて。

映画館のスクリーンで観る「三国志」の戦闘シーンは、この「レッドクリフ」二部作が初体験だっただけに、全体的に映像・音響ともにその迫力を体感でき、臨場感を楽しむことができた。
ただ、『ロード・オブ・ザ・リング』の三部作を超えるほど、ハラハラドキドキしなかったし、心は掴まれなかった。



具体的には、さすが物語の一番有名な場面であるだけに、『赤壁の戦い』のクライマックス、船上の火責めシーンが一番迫力あった。
何万もの魏の船団が一気に燃え広がってゆく様子は凄かった。
攻め方が短絡的で面白みがないという人もいたけど、もともと風向きで一気に火は燃え広がり、あっという間に決着がついてしまった決戦だったので。(映画では、引っ張りましたけど)


ただ、火責め用の船に呉軍の兵士が乗り込んでいて(果たして乗り込む必要があったのか?)、魏の船隊に船ごと突っ込んだ時に呉軍の犠牲者が無駄に多く発生したように見えたが、何の意味があったのだろうか。無駄死に。
(原作では、藁人形を積んだ船に火をかけて、風向きを利用して魏の船団に突っ込ませた)


本当なら、船上の「火責めの計」ですでに決着はつき、逃げる曹操に追い討ちをかける劉備軍が描かれるが、
映画ではストーリーの展開上、次の日に陸上で、連合軍と曹操軍との決死の戦闘が繰り広げられる。
完全に有利な展開の中、無意味に連合軍に被害者が続出しているシーンが多く、なんとなく後味が良くない。




ストーリー・演出について。


ストーリー展開には疑問が残るばかり。


観ていてイライラするし、だんだん腹が立ってきた。
前回はまだ前半という事で、プロローグ的な気持ちで観ていたので、「まぁ、これもアリかなぁ。。」なんて受け入れて観てたけど、
パートⅡを観てつくづく感じた事・・・


呉が主役だから仕方ない部分はある。
しかし、あまりにも曹操劉備人間性が全く伝わってこない。
これ、非常に重要だと思う。
なぜこの二人が、二千年もの長きに渡り、今も語り継がれているのか・・
当時の稀代の英雄たちが、なぜ彼らに忠誠を誓っているのか。
全く理解できない人間像だった。



ひとつの映画作品として、限られた短い時間で制作するためには、原作にはないエピソードをとりいれる事は仕方ない事だと解かってはいるが、人間性を捻じ曲げられて演出されている事がどうも府に落ちない。



原作にはまったく有り得ない、孫権の戦場で闘うシーンも違和感を感じるし、(君主クラスで孫権だけが英雄か?!原作では戦場に出たことのない青二才が?!)
曹操の放った策(疫病で亡くなった自分の兵を船に乗せて、呉・蜀連合軍に送りつけるエピソード)は、あまりにも冷酷非道すぎ。
また、それを曹操の策略と分かっていながら、戦線離脱する劉備のエピソードは、全く理解できなかった。



もちろん、ご存知の方は多いと思いますが、原作にはない創作ストーリーです。もともと劉備孫権もあの戦場の場には赴いていない。
原作では、孔明が(趙雲のみを従えて)、最初から最後に至るまで、孤高の身ひとつで呉にのりこんでいる。
だからこそ、あの時点で劉備が一度、あの場を立ち去るシーンが必要だった。
しかし、あの去り方では、どう観ても後世に名を残す英雄とは言いがたく、ただの弱虫・へっぴり腰の無能な君主じゃないですか。



劉備に忠義を誓う三人の英雄(関羽張飛趙雲)が、劉備を置いて、呉の援軍に勝手に向かう姿も理解しがたい。あれでは、一体だれに忠誠を誓っているのか分からない。
特に、趙雲の忠義の心は、一体誰に向いてるの?!とツッコミたくなった。



後半、戦線離脱したはずの劉備が、自分の部下たちに引っ張られるように再び援軍の将として戻っきた時、まるで周瑜が自らの謀で『敵を欺くには味方から・・』と不適に笑っているシーンがあるが、
これは、本当に策略だったのが、それとも周瑜孔明を立てるために、みんなにそう思わせたのか。判断つがず。分かりにくい。




最後も、まるで曹操が、たった一人の女のために赤壁で大敗を喫したような結末になったが、曹操が女で身を滅ぼすような人間像は皆無だし、ストーリー全体を通して、人間的な魅力が全く伝わってこない。
曹操役の人が非常によい俳優だっただけに、あの描かれ方は残念だった。



三国志の魅力の一つは、すべての登場人物に何かしら魅力がある事だと思っているので、
呉や一部の人物たちだけではなく、他の主要人物たちだけでも、人間的な魅力と輝きをもう少し持たせてほしかったなと思う。(呉志ではなく、三国志なんですから!)




いろいろ言っちゃいましたが、何も「三国志」を知らずに観てたら全く違う感想だったと思います。
まったく共感できなかった方、愚痴ばかりになってすみませんでした。