ミスチルHOME TOUR DVDの感想


遅らばせながら、8/6に発売されましたMr.ChildrenのスタジアムLIVE DVD
“HOME” TOUR 2007~in the field~  の感想を書きます〜
発売後、一通り流すように見ましたが、すぐに北海道ツーリングだったので、なかなかちゃんと落ち着いて視聴できずにおりました。


★最初に、ジャケットとケースの印象。

「亀とウサギの競争」の逸話をモチーフに、リクガメの甲羅からウサギがひょっこりと顔を出している、実にニユークでかわいいジャケット写真。
色づかいも、懐かしさを感じるような、少しくすんだ感じのベージュ系が、心を和ませる。
そして、そこにはちゃんとメッセージ性も伺える。
カメとウサギの一体化は、争い合う必要はない=「平和」への願いが込められている。(らしいです)


ケースは・・・多少不満あり。
ちゃんとディスクを隔離できるしっかりしたハードケースに入れてほしかった。
ホコリに弱いDVD。神経質にもなります。
しかし、オールカラー160Pの豪華ブックレット付き(その中身はほとんどミスチルの写真集)がついて、いつものLIVE DVDより500円しか高くないから(とてもじゃないけど、500円じゃ買えない立派なミニ写真集です)仕方ないのかな。
経費節減、中身は充実。


1. オープニング〜
2. 彩り
アレンジといい、バックの大画面の画像の映し方といい、アリーナliveの最終曲と演出が似ていて、まるで続きを見ているみたい。
アリーナ版のHOMEツアーLIVE DVDの感動が蘇る。
桜井さんがCメロで「ただいま〜」と言った後、観客に「おかえり〜」と促すように歌わせていた場面が、ファンと家族のような一体感を感じて、温かい気持ちになった。


☆このほのかな感動の後、いきなり画面が切り替わる。
・・・画像は、LIVE会場から突然、富士山の麓で撮影した芝生のシーンへ。
現在のメンバーたちが白い模型のハウス(HOMEをイメージしたもの)に向かって歩いてゆく。
そして、タイトル「〜Mr.Children”HOME”TOUR 2007 〜in the field〜」
画像は、再びLIVE映像へ・・


3. 名もなき詩
「ただいま!」と歌っているかの様に始まった、おなじみLIVE定番の曲。
今回も、一番のサビを観客が合唱。


4.星になれたら
とても懐かしい、若い頃のミスチルのナンバー。
最後のサビの部分を「まかせたぞ、横浜!!」と観客に歌わせた。
今回は、合唱が多い。観客(ファン)とのコンタクトを極力、持とうとする桜井さん。
それに応えようとするファンたち。会場全体から歓喜が伝わってくる。
この素朴で純粋なラブソングは、久しぶりにLIVEで歌われたため、かえって新鮮に感じる。
とくに思い入れのなかった歌だが、なかなかいい曲だと再認識。


5.シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌
近年、LIVEで歌われていない懐かしのナンバーが続く。
桜井さんの、手を差し出してピョンピョン跳ねながら、観客を煽る姿がすごくかわいい。
観客と一緒に楽しもうという気合がみられる。
発売当時、歌っていた頃の映像を見ると、歌い方が随分違う事に気づく。
もともとパワーのある曲で、昔のヤンチャな頃の歌い方も好きだけど、
このLIVEで心から楽しんで歌っている桜井さんの姿に、こちらも自然に笑みがこぼれる。


MC

6.CROSS ROAD
原曲よりスローなテンポで、とてもよいアレンジだと思った。
今まで聞いたCROSS〜の中で最高だった。
ブレイクのきっかけとなった当時は、あまり明るいイメージの曲ではなかったが、
心あたたまる優しい歌へと進化し、私たちに精一杯の感謝の想いを披露してくれた様に思えた。


7.Tomorrow never knows
桜井さんのアコギから入るイントロがかっこいい。


8.my life
失恋の歌なのに、どこか明るい感じがとても良い。
桜井さんはMCの中で、「いいことばっかあるはずない、それでこそmy life・・・と歌っているけど、逆を言えば、悪い事ばかりも続かないよ、という事を伝えたい・・・」なんて事を言っていました。一見、マイナス思考かと思いきや、実は楽観主義的な歌なのです。


☆〜ここまでは、最初の「彩り」以外、古い初期の頃の歌を存分に歌って、自分の「HOME」、つまり自分たちの原点の歌・・・という意図で組んだセットリストだったようだ。
かつては、「深海」時代やそれ以前の一部の楽曲を思い出すのも避けていたような時期があったが、大人になった彼らは、今ではすっかり思い出として、暗い時代を明るく振り返られるようになったようだ。


9.ひびき
リズムの複雑さゆえか、メンバー全員のカウントから入るという、めずらしいオープニング。
それがなんとも微笑ましい。
愛らしい歌詞とリアルな歌詞が交差する、ミスチルらしい現実身のある幸せソング。


☆ 〜画面はLIVE会場から富士山の麓へ切り替わる。
ホームの白い模型の前で四人、椅子に座って、桜井さんのインタビュー。
インタビューは嬉しいけど、流れが一旦切れてしまうため、liveの高揚感は一気に醒める。
インタビューだけ別枠に設けてほしかった。


10.もっと
9.11グランドゼロにインスパイヤされて出来た曲。(インタビュー・桜井さん談)
「どんな理不尽も コメディに見えてくるまで、大きなハートを持てるといいな・・もっと もっと もっと・・・」
このサビの歌詞が心に焼き付いていて、いつも理不尽な事にさいなまれる時、この言葉を思い出しては、笑顔を作る努力をするようになった私。(なかなか実行できてないけど)
アリーナツアーの時と同様、全身全霊で歌いあげる桜井さんに、感動です。


11.HERO
うーん・・・曲は最高に好きなんだけど、今まで見たliveの中では、ぐっとくるものが少なかった。(小林氏の)ピアノ音が強い編曲が好みじゃないのかなぁ。woneder〜、ap bank fesの時の方が感動した。個人差はあるので、あくまでも私的には・・という事です。


12.Imagine
言わずと知れた、ジョン・レノンのカバー曲。正直、無くてもいいかも。
ミスチルのオリジナル曲「Image」の方が好き。洋楽のカバーは、極力ない方が良いと感じます。正直な感想。


13.CENTER OF UNIVERSE
HOME以前の演奏(田原さんのギターと河口さんのセカンドギターの絡み)がとても好きだったので、その部分が小林氏のピアノにとって変わっている編曲が好みではないけど・・・
でも、お気に入りの曲であることには変わらない。
「あぁ、世界はすばらしい・・・」と恥じる事なく、声高々に歌い上げる桜井さんは、やっぱりすごい。

(Disk 2)
〜インタビュー

14.Dance Dance Dance
15.フェイク
16.Any


☆この三曲は、アリーナツアーと同じアレンジで、三曲で一体という形になっている。(実際は前Disk1の最後の二曲から続いているが、スタジアム版ではディスクが変わる為に一度切れてしまっている)

☆LIVE中盤の目玉。フェィク〜Anyへのつながり方はアリーナ版同様、最高の演出。
ドロ臭さ全開の「フェイク」で、叫ぶかの様に「すべてはフェイク」連呼の後、あえて真逆な曲 「Any」へつなぐ事によって、「そのすべて、真実」という名言がより光る演出となっている。
収録時間の都合上、やむを得なかったのだろうけど、
「CENTER OF〜」と「Dance〜」の流れが切れてしまっている今回のスタジアム版は、アリーナ版より臨場感や感動が薄れるものとなったように思われる。


17.口笛
すでにファンの間で伝説となりつつある、数万の観客による大合唱は、底知れぬ感動を呼ぶ。
その姿に、桜井さんもメンバーたちも、本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。
途中、桜井さんが合唱に合わせるように歌う・・・
「そして、どんな場面も二人なら笑えますように・・・」のフレーズで、自分と観客を結ぶように指をさした姿には、ファンたちと一緒に笑い合っていきたい・・・という気持ちが伝わってきて、そこに参加できなかったファンも嬉しさのあまり、うるうるしてしまう。
最後は、桜井さんのきれいな口笛で締めくくられた。


18.Sign
「口笛」のお礼に・・・という感じのMCが入り、心を込めて歌い上げる桜井さん。
「君が見せる仕草 僕に向けられているサイン・・もう何一つ見落とさない」という有名なフレーズは、「君」=観客(ファン)に置き換えて歌ってくれている感じがした。


19.ポケットカスタネット
20.Worlds end
21.終りなき旅
22.しるし


この四曲は、アリーナツアーと同じ並びで、同じアレンジ。
「終わりなき旅」は、一番好きな曲のひとつ。
桜井さんのエレキギター・ソロからゆっくりと静かに入り、序々に盛り上がってくる。
アレンジはほぼアリーナと同じだが、細かい部分が毎回変わるのはライブならでは。


☆賛否両論の多かった「しるし」の伝説(?)の編集。
映像は、また富士の麓の芝生シーンへとぶ。
桜井さんは一人、木に寄りかかるようにして座っている。
そしてギター片手に「しるし」を引き語り始めた。
「え〜?!」と、最初は意味も分からず度肝を抜かれ、放心状態。
始めはびっくりしたものの、桜井さんのレアな映像を見ている様な気分になり、すっかり見入ってしまう。
しかし、再びサビの部分からLIVE映像へと切り替わった。
これまた度肝を抜かれ・・・
お願いだから、どっちかにしてほしい。
どちらの「しるし」も素晴らしいのに、つなぎ合わせる事でプラスになるどころか、マイナス効果。両方とも、フルで落ち着いて聞きたいです。


(アンコール)
23.Wake me up!
LIVEも終盤。アリーナでも演奏していない「HOME」からのナンバーという事で、私的には「通り雨」演奏してほしかった・・というただのワガママです。


24.innocent world
CROSS ROAD」「Tomorrow never knows」とともに、私はこの三曲を黄金の三部作と勝手に呼んでいる。


〜DVDとは関係ない私話〜
この三部作リリース当時は、あまりメジャーすぎる音楽を好まない傾向にあった私(アウトロー?)はミスチルに全く興味が持てなかった。
今こうして、ミスチルの音楽を受け入れ、出会えた事に感謝しながら、毎日がまさにミスチル三昧。
当時は、もっとドロ臭い、浜田省吾Bon Joviにハマッてたけど、今思えばハマショーとミスチルは同じ路線なので(当時は気付かなかったけど)、現在こんなにハマってしまっている自分も理解できる。


今LIVEで改めて聞いてみると、黄金三曲とも結構いいね。
あの頃の悲愴感的イメージを払拭するような、何か吹っ切れたように、清々しく歌いあげている。桜井さんの進化を感じた。


25.旅立ちの唄
CDの音源よりも、スローテンポにアレンジされていて、シングルバージョンより壮大。
LIVEバージョンのPVとして、すでに世に出ている映像と全く同じものを使用している事が、残念だったが。
初めてこの映像をPVで見た時、気持ちを込めて全力で歌う姿に、引き込まれるような感動でトリハダたちまくりだったのだ。
歌い終わった後に、深々と丁寧にお辞儀をする桜井さんにもジーンとくる。
アルバムにこの曲が入るんだったら、このスローバージョンをぜひとも入れてほしい。


26.END ROLL
お楽しみが一杯のレコーディング風景。
お茶目なメンバーたちが見れて、これだけでも貴重な映像。
編集に関しては、このEND ROLLだけは気に入った。


☆ざっと見た後の全体の感想。
今回の編集には、賛否両論が今まで以上に多い気がするが、私もLIVEの流れを損ねていると思える編集は、あまり好めなかった。
画像が映りかわる度に、高揚が途切れてしまい、LIVEを通しての、一連の中に生まれる感動の伝わり方が鈍いようにも思えた。
もし、何の邪魔も入らずにLIVEを見続けられたら、また違った感動が起こるのかもしれない。


☆私的の意見としては、小林氏がステージの真ん中を陣取り、どのメンバーのアングルからも映るような位置にいるのが、どうも気に入らない。
ピアノが強めの編曲は仕方ないとして、映像としてメンバーの一人みたいに、たくさん映りこむのは、正直、気が散る。
プロデューサーは、裏方として影で支えてくれている方が親近感が沸くもの。
あまり前面に出てきてほしくないと思った。


☆ LIVEの内容について・・・


二回くらい観終わった時、前半は力を温存していて、序所に盛り上がって、最後は全力投球かな?と思ったてけど、三〜四回程観た後は、最初に観た時の印象とはどんどん変わってくる。でも、それがミスチルのDVD LIVEなんだなぁ。


今回は今までのDVD LIVEとは少し感じが違う。
今までのLIVEは、歌に対しての感情の込め方が、神がかり的と思える程、入りこんでいるように見えた。どこか陶酔感にひたっているような感じもあった。
このDVDに関しては、もっと冷静に感情をコントロールしていて、全ての曲を観客と一体になって作り上げてゆくという事を前提に歌っているように思えた。
その分、以前よりも全身全霊で歌い上げる曲が少なかったようにも感じる。


「Q」や「Wonederful world」のように、「魅せる」「聴かせる事」に対して、徹底してプロ意識を持っていた頃の桜井さんもとても魅力的で、心を掴まれるような、きゅぅっと締め付けられるような感動で、何度見ても圧倒される。
「シフクノオト」くらいから、桜井さんは変わってきた。それでも、歌に対する神がかり的な感情移入は「HOME」アリーナツアーのDVDまで存在するような気がする。
今回のスタジアム・ツアーには、それがあまり感じられなかった。


また逆に、今回のスタジアム・ツアーの観客との間に生まれた、これだけの一体感は今までにはないもので、以前とは違う感動が確かに存在する。
きっと桜井さんにとって、特別なツアーだったに違いない。
15年分の、ファンに対する感謝がいっぱい詰め込まれているようなセットリストとメンバーたちの満面の微笑み。
その感謝の想いがひしひしと伝わってきて、逆にファンからミスチルへ感謝の意を表したくなる。
総じて、とても心が温まるLIVEでした。


アリーナツアーもスタジアムツアーも、どちらのLIVE DVDも違う魅力があり、素晴らしいものでした。
全く違う種類の感動を味わえると思います。
セットリストも、半分以上変わっています。
桜井さんの歌に対する表現なども、差異があると感じます。
スタジアムのセットリストの方が人気ありますが、スタジアムに入っていないアリーナツアーの曲もとても良かったです。
アリーナ版をまだ観ていないファンの方には、ぜひ一度観てほしい。
(経済的に可能なら)二枚セットで購入をお薦めします。