プルさんのいないGPは、寂しい・・・(ひとりごと)


この一年、仕事でもプライベートでも色々な事がありすぎて、落ち込むことが多かった。
いままでの人生の中で、一番ショックな出来事が起こり、
そんな精神状態の中、プルさんの復帰だけが、心の支えでした。
プルさんの出ないグランプリ・シリーズ・・・なんと寂しいことか。
昨年もプルさんのいない競技を虚しく眺めていましたが、
今年こそは・・・と思っていたのに。やはり、そこにプルさんはいなかった。


プルさんは、競技に出れば、表彰台を目指さなければならない人です。
しかも、一番上をです。
彼にとって、最低でも銅。それ以下ならば、出る価値がないのです。
とても過酷な運命のもとに生まれた人だ。しかし、生まれながらの王なのだ。
万全な状態で競技に復帰できなければ、彼が競技に戻ってくる可能性は非常に低い。
来季の膝の再手術の結果次第という話しもあるが、なんて長い話なのでしょう。
気長に待つ決心をしたばかりだというのに、それでもTVでグランプリ・シリーズを見ていたりすると、
ぽっかりと穴が空いたような、そんな気持ちになってくるのです。


しかし落ち込んでいても仕方ないので、一縷の希望を胸に、
プルさんの一番最高であった時の演技をいくつか見てみました。
By. you tubeの動画より。


(以下、プルさんのプログラムを全く見たことの無い人には、マニアック過ぎて面白くないと思います〜)
※注約・・3 →トリプル・ジャンプ
     4 →クワドフル(4回転)ジャンプ
数字の後に続くアルファベット(ジャンプの種類)
     T→トゥループ
     F→フリップ
     L→ルッツ
     S→サルコウ
     R→ループ
     A→アクセル(3Aというのは三回転半ジャンプ)

03年のプルさんの地元サンクトペテルブルクで行われたGPF(グランプリ・ファイナル)

http://youtube.com/watch?v=DVplv_v4B4M&search=plushenko


冒頭の大技4T-3T-3R。未だ彼以外誰も跳んでいないミラクル・コンボ〜!!
カンペキ。素晴らしい。言葉も出ないほど。
プルさんにしてはとても珍しく、技を決めた直後、競技中だというのにガッツポーズ。
続く3A-3Tも、なんと美しいことか。
技術的に非常の高かったこのGPFのフリー。
サンクト300と呼ばれるこのプログラム、当時は、それ程評判は良くなったようであるが、
私はかなりお気に入りのプログラムである。
まるで氷上のバレエダンサーのように舞っている姿は、息を呑む程美しい。
振付け素晴らしいと思う。オカッパ頭が懐かしい。

04年ワールド (ニジンスキーをモチーフにしたプログラム)

http://youtube.com/watch?v=ShH2dvsEuMk


彼のプログラムの中で、一番芸術的な作品だと感じる。
プルさんの素晴らしい集中力。ゆったりとした動きの中に、美しいポジションをキープ。
一つ一つが絵になる芸術そのもの。
プルさんが演技に入り込む時って、研ぎ澄まされた集中力が伝わってくる。
その時、他を寄せ付けないオーラを感じる。
このプログラムはとても情緒的であるが、決して感情的な演技ではなく、
静かに淡々と音楽そのものを表現し、体全体を使い全身全霊で演じているプルさんの姿からは、
気迫が伝わってくるようである。


ところどころにニジンスキーのバレエの振付け、
“薔薇の精”や”牧神の午後”ペトルーシュカ”などのポーズが入る。
音楽も振付けもプログラム全体に溶け込んでいて、プルさんが演じているというより、
彼が音楽そのものであるような、そんな錯覚に陥る。
音楽を担当したのは、このプログラムから参加している、
ハンガリー出身の世界的バイオリニスト(作曲家でもある)エドウィンマートン
彼との共演は今でも続いているが、会うべくして会った最高のパートナーだと思います。
彼の音楽だからこそ、プルさんのインスピレーションがより刺激され、
素晴らしい作品となるのでしょうね。


冒頭の大技4T-3T-2Rの後、タイミングを整えてすぐにもう一度4T。
その冒頭だけでもすごい・・・美しい空中姿勢の3A。
さらに、3A・ハーフループ・3Fへのジャンプシークエンス。
プルさんしかやらない高難度の技ばかり連発!!
後半の流れるような動きの中での、3Fに3Sの頃には、
彼の作品の中に引き込まれていて、釘付けになっている自分に気づく。


そんな矢先、最後のジャンプで信じられない事が起こる。
トリプルジャンプでの転倒なんて、ここ最近は見たことない。
ダブルになるミスはあっても、トリプルで決して転ぶことはなかった。
しかし、その転倒はとても不自然なもので、ジャンプでの着地によるものではなく、
今まさに3Rに入る直前での助走の時の転倒である。
しかし、その失敗の後も、丁寧に丁寧に、プログラムが終了するまで演じきっているプルさんが好きだ。
たとえ冒頭でミスしたとしても、後の演技に尾を引くどころが、集中力を高めて最高の演技をする。
そういう選手は稀だ。
得点は、あまりの技術の高さにより、転倒は全く点数には響かず、5.8から5.9を連発。
プレゼンテーションでは、なんと半数以上が6.0!!
ホッとした表情の直後、勝ち誇ったように拳を握り締め、雄叫びを放っていたプルさんが印象的です。
実は、この直前に行われたユーロで、ジュベールに負けているので、
いつになく喜びを大爆発させていたプルさん、よっはぽど嬉しかったのでしょう。
後から判明したが、転倒はリンク上に落ちていたスパンコールに躓いてしまったとのことでありました。これだけが残念。

 
以上、技術的専門知識がないため、
あくまでも感じたままを素直に書き綴ったものですのでご了承ください。


後半は、明日へ続く。